ドイツ暮らし保育士お母さんの気づき

ドイツで暮らしている2人の男の子のお母さん&保育士です。海外生活で起こる(かもしれない)ことや親子の会話をサクッと読める記事にしています。育児や保育に関すること、趣味の日本語研究と人間観察なども...

by保育士 子供が保育園、幼稚園で”楽しく”過ごすためには?

こんにちは。だいみにです。

ドイツで暮らしている保育士お母さんです。
 

保育士をしていると親御さんに相談されることがあります。

「子供が家ではやりたい放題で困ります」

「子供が家では全然私の話を聞いてくれないんです」

「子供が家ではマイペースで私だけがいつも焦っています」

 

これらの対処法についてはこちら

daimini.hatenablog.com

 

親御さんの心配とは裏腹に、こういう家庭は親子関係がうまくいっていると感じます。それは園での子供の様子でわかます。家できちんとリラックスできている子供は、園でうまく過ごすことができています。逆に家で我慢ばかり強いられている子供は、園生活でトラブルを起こすことが多いです。

 

「保育園なんて楽しいところじゃないわ」
0歳から保育園に通った小学生の言葉です。

これは子供の本心だと思います。
突き詰めると、安心できる家庭をもつ子供にとっては「家より居心地のいいところはない」ということです。

保育園や幼稚園は子供にとっての社会です。子供ながらにいろいろ気を遣って、妥協しながら団体生活をしています。

お話したいのに「静かにしましょう」と言われることがあります。

眠くないときでも、いつも同じ時間にお昼寝しないといけません。

気分がのらなくても外遊びに行かないといけません。

大好きな遊びでも先生に「片づけましょう」と言われると、途中でやめて片付けないといけません。

子供ながらにストレスがたまるわけです。
じゃあそのストレスをどこで発散するかというと、家庭なわけです。

 

親は子供に「保育園(幼稚園)に行くとお友だちもいるし楽しいことがいっぱいあるよ」と言って送り出します。
もちろん保育園や幼稚園で子供は色々なことを学びます。歌や工作、友達との関わり方のノウハウや親ではない大人との距離感など、家にいると遭遇できない出来事もたくさんあります。

親としては保育園や幼稚園でいろいろなことを子供に学んできてもらいたいと期待するのは当たり前です。しかし家がたっぷり甘えられる環境でなければ、子供が園生活を"楽しく"送ることは難しいのです。
 
それを証明できることが年中さんで起こりました。

Kちゃんのお母さんは二人目の子供を妊娠していました。出産予定はまだ少し先だったので、Kちゃんはお母さんと親子遠足に行くのを楽しみにしていました。ところがお母さんの体調が悪くなり急遽入院することに。親子遠足の日はおばあちゃんがお弁当を作って来てくださいました。
Kちゃんは園では手がかからない子供でトラブルなども全くありません。

お弁当の時間になり、みんなでシートをひいてお弁当を広げました。その時、Kちゃんはおばあちゃんが作ってくれたお弁当をぶちまけたのです。朝からおばあちゃんが一生懸命作ってくれたお弁当は台無しになってしまいました。

おばあちゃんのことを思うと、Kちゃんを叱りたい気持ちになりましたが、Kちゃんの顔を見るとそれが間違っていることは容易に理解できました。

Kちゃんは我慢の限界に達し爆発したのです。自分もみんなみたいにお母さんと遠足に来たかった。お母さんにお弁当を作ってほしかった。
子供がお母さんを慕う気持ちは理屈では説明できません。ただおばあちゃんじゃなくて、大好きなお母さんがよかったんです。

普段はリラックスできる家庭環境にいたKちゃんだったのですが、お母さんの急な入院によるストレスを感じていたのでしょう。

家庭で我慢していたことが、園生活に反映される瞬間を見た気がしました。

 

弟、妹ができたり、ときには親が離婚したりすることは実際起こりうることです。
子供にとって家庭環境が変わったときが一番親に甘えたいときなのです。
現実問題としてむずかしいこともあるかもしれませんが、親御さんはできるだけ子供との時間をとって子供の心に寄り添ってあげてほしいと思います。

いくら保育士が子供たちに愛情を注いでもお母さん(お父さん)にはかないません。
お迎えのときの子供たちの笑顔がそれを物語っています。

 

f:id:daimini:20210119000150p:plain